- 「"After you"ってどういう意味?」
- 「どうして"お先にどうぞ"って意味になるの?」
- 「どんな場面で使うの?」
と思っていませんか?
よく英会話教材や英会話書籍などでは、
- 「"After you"="どうぞ" "お先にどうぞ"」
と書いてあることが多いです。
しかし、このようにそのまま日本語訳を丸暗記してしまうと、大きな罠にハマってしまいます。
そこで、この記事を読むことで、
という疑問がスッキリ解決します。
1.「After you」が「お先にどうぞ」になるのはなぜ?
「After you」は、日本語訳すと「どうぞ」「お先にどうぞ」というような意味になります。
ですが、初めてこのフレーズを見ると、"After"と"you"からなぜ「どうぞ」「お先にどうぞ」という意味になるのか全く想像つきませんよね?
なので、多くの人は日本語訳の意味を丸暗記する場合が多いです。
ただ、そのまま丸暗記してしまうと間違った使い方をしてしまうリスクがあります。
では、どうしたらいいのでしょうか。
それは、「After you」という語の原理・成り立ちをしっかり理解することです。
これで忘れない!「After you」が「お先にどうぞ」になる原理
「After you」がなぜ「どうぞ」「お先にどうぞ」になるのでしょうか。
「After you」というフレーズは、厳密には、
- I'll go after you.
の略です。
すなわち、
- 「After you」→「I'll go after you」→「私はyouの後からgoするわ」→「私は後でいいわ」→「お先にどうぞ」
となるわけです。
つまり、
- 「After you」は「私は後でいいわ」という意味を伝えたいとき
に使われるというわけです。
「("あなた"が)お先にどうぞ」という、「あなた=you」が主語となった日本語訳は、意味的には確かに間違ってはいません。
しかし、「After you」は厳密には、上記で説明したように「I=わたし」が主語となって「I'll go after you」=「("私が")後から行くわ」というニュアンスです。
このように、「After you」→「(I'll go) After you」と考えると、日本語訳を丸暗記する必要もなく、ド忘れすることもありません。
「× Please after you」はNG
よく、英語初心者のうちは、「× Please after you」というように"Please"を付けて使ってしまうことがありがちです。
しかし、
- 「After you」の先頭には「please」を付けて使うことはできません
なぜかというと、先ほど説明したように、
「After you」は、「I'll go after you」というように、"I"=自分が主語になっているからです。
なので、命令文に添えて使う「please」は使えないというわけです。
「どうぞ」がすべて「After you」になるわけではない
また、日本語訳で「After you」=「どうぞ」と丸暗記していると、ハマってしまいがちな大きな罠があります。
それは、
- 「どうぞ」と言えるシチュエーション全てにおいて「After you」が使えるわけではない
ということです。
わかりやすい例を挙げると、
たとえば、あなたが誰かに「Could you pass me that pen?(ペン取って)」と言われて、相手に「(ペンを渡しながら)はい、どうぞ」と言いたいときに、日本語から考えて「どうぞ」=「After you」と言うのは間違いです。
あくまでも「After you」は「私は後でいいですよ」という意味なので、ペンを渡しながら「私は後でいいですよ」というのは意味不明になっていしまいます。
(ちなみにこのようなシチュエーションでは、「Here you are.」が適切です。)
「Here you are」も「After you」も同じ「どうぞ」という日本語で訳されることが多いですが、それぞれ全くニュアンスが異なります。
このように、日本語訳を丸暗記して覚えようとすると"日本語英語の罠"にハマってしまうので注意が必要です。
「After you」は非常に丁寧な表現なのでビジネスにも使える
この「After you」という表現は、ネイティブの感覚からしても、非常に丁寧で紳士的なイメージの表現です。
(「私は後でいいですよ。どうぞ。」的な。)
それゆえ、年配の方や目上の方に対してはもちろん、ビジネスの場で使っても失礼にはなりません。
特にお上品な表現が好まれるイギリス英語では特によく使われます。
2.「After you」は実際にどんなときに使う?
先ほども述べたように、「After you」には、
- 「I'll go after you.」→「私は後でいいわ」
というニュアンスがある通り、基本は、
- 相手に物事を譲るとき
に使います。
もっと、厳密に言うと、相手の後にすぐ自分も同じことをやるような場面で使います。
- 一人しか通れない道(場所)で相手に道を譲るとき
- エレベーターから出るときに相手を先に行かせるとき
- お店や会議室などの入口で相手に先に入らせるとき
- バスや電車などの入口で相手を先に入らせるとき
- 相手に先に席に座ってもらうときに「先におかけください」と言うとき
たとえば、上記の「先におかけください」のように、場面によってさまざまな意訳になり得ます。
ですが、たとえどんな訳になろうとも「私は後でいいわ」というニュアンスには変わりはありませんので、日本語訳に惑わされる必要はありません。
3.「After you」って言われたら何て返す?例文を添えて解説
「After you」と言われたときの返事・リアクションの仕方は、肯定するときと否定するとき、それぞれ以下のパターンを使うのが一般的です。
- 肯定するときの返答:Thank you.(ありがとう)
- 否定するとき(譲るとき)の返答:No, after you.(いいえ、あなたからお先にどうぞ)
A:After you.(どうぞお先に)
B:Thank you.(ありがとう)
A:After you.(どうぞお先に)
B:No, after you.(いいえ、あなたからお先にどうぞ)
A:Thank you.(ありがとう)
また、否定するとき(相手を譲るとき)に、"insist"というワードを使って「No, I insist, after you.」 と言う場合もあります。
"insist"とは「(反対されても)主張する、力説する、強調する、強要する、要求する」という意味がある動詞です。
なので、通常の「No, after you.」よりも「No, I insist, after you.」の方が遠慮度(相手に譲りますよ度)が高いニュアンスが出ます。(「いえいえ、むしろ、あなたこそお先にどうぞっ」的な。)
4.「Go ahead」と「After you」の違いは?
「After you」と似たような表現に「Go ahead」というフレーズを聞いたことはありませんか?
どちらも「お先にどうぞ」と訳されることが多いワードですが、これらの2つのフレーズどのような違いがあるのでしょうか。
主に違う点を以下にまとめてみました。
After you | Go ahead |
---|---|
相手が先に何かをした後にすぐに自分も同じことをする時のみに使うことができる | 自分が相手の後すぐに同じことをしない場合にも使うことができる |
主語は自分(I) | 主語が相手(you) |
かなり丁寧で紳士的な表現でビジネスでも使える | 「After you」よりストレートでカジュアルな表現 |
主語はI(I'll go after you)なので「×:Please after you」とは言えない | 命令形なので「please」をつけて「Please go ahead.」と言うことが可能 |
Go aheadは自分が相手の後すぐに同じことをしない場合にも使うことができる
上記の表を見ると、
- After you:相手が先に何かをした後にすぐに自分も同じことをする時のみに使うことができる
- Go ahead:自分が相手の後すぐに同じことをしない場合にも使うことができる
とありますが、これだけパッとみてもわかりにくいですよね。
そこで。わかりやすいように例を挙げると、
例えば、
- エレベーターの出口で相手に「お先にどうぞ」と譲る場合
のように、相手がエレベーターを出た後にすぐ自分も出るような場合は、
- 「After you」も「Go ahead」も両方
使うことができます。
ですが、
- 「自分は後から行くから先に行ってて」
というような場合には、
- 「Go ahead」は使えますが「After you」は使えません。
なぜかというと、自分は、相手が先に出発したあとにすぐに出発するわけではなく、相手を先に行ってもらってしばらくしてから出発する、すなわち、自分が相手の後すぐに同じことをしないからです。
また、レストランで相手の料理が先に到着したときに「先に食べていいよ」と言うときにも、
- "Go ahead"
を使うことができます。
A:Oh,I forgot my smartphone. Can you go ahead? I’ll catch up soon.
(あっ、スマホ忘れたわ。先に行っててくれる?すぐ追いつくから。)
B:OK.
(わかった。)
Go aheadは「お先にどうぞ」以外の意味でも使われる
また、「Go ahead」は、相手にものごとを譲る、先にやってもらう場面以外にも、文脈や会話の流れによって以下のように様々な意味・ニュアンスとして使われます。
- 許可を与える(「どうぞ」「いいよ」「OKだよ」)
- あなたならできるよ系(「やってみなよ!」)
- 皮肉(「勝手にしろよ!」「好きにすれば?」)
①許可を与える(「どうぞ」「いいよ」「OKだよ」)
A:May I ask a question?
(質問していいですか?)
B:Sure, go ahead.
(はい、どうぞ)
②あなたならできるよ系(「やってみなよ!」)
Go ahead! You can make it!
(やってみなよ!あなたならできるよ!)
③皮肉(「勝手にしろよ!」「好きにすれば?」)
If you want to do it, go ahead! But you will need to take full responsibility for your action no matter what happens.
(やりたいなら、好きにすれば? でも、何が起こってもあなたの自己責任ですけど。)
このように、必ずしも「After you」と同じような意味で使われるわけではないので、文脈をしっかり意識しながら意味を理解するようにしましょう。